「先生たちは似てますよ。
俺をからかって遊ぶんだから」

俺は苦笑しながら手嶋先生の横に腰を下ろし、ビールを口にした。

「何の話されてるんですか?」

俺たちの会話に入ってきたのは、同じ数学科の佐藤先生だった。

佐藤先生はきれいで生徒人気も高い、いい教師だが、俺は何となく苦手だ。

もし俺の自意識過剰じゃなければ、彼女はきっと俺に好意を持っているから。

「株式市場の話ですよ」

手嶋先生は顔色一つ変えずに嘘をつく。

もし質問でもされたら、全く興味のない俺では答えようがなくて不安だったが、彼女は疑問に思わなかったようだった。