あたしが荒井君の言葉について考えていると、荒井君は笑った。


「森下はさ、掃除当番とか替わってって言われたらいいよ、って言うタイプ」


「そんなこと言わないよ」


ムキになって言い返したけれど、よく考えればたまにある。


「まぁ例えだから」


図書室にいるなんて忘れてふたりは大きな声で笑っていた。まぁ、図書室を利用しているのは二人だけだけど。


「自分に意見があっても、もしかしたら相手にも都合があるかも……なんて考えて何も言わないタイプ」


「……っ」


それはあってる。


あたしはきっと今まで生きてきたなかで自分の意見を押し通したことが無いかもしれない。


「いつもそうであれとはいわないよ。さすがにそうだったらただの自己中じゃん」


「たしかに……」


たまにいる。


自分が世界の中心だとまでは思っていなくても、自分の意見は必ず正しいと勘違いしていて、押しつけてくる人。




そんな人にはなりたくないと思ってはいる。