後五分で深夜零時、もうすぐ出発だ。

四人並んで鳥居の前に立つ。
私は楓の手を握った。
楓も強く握り返す。 

深夜零時、鳥居の歪みから
黒い裂け目が現れた。
凛、風、楓、私の順番で通り抜ける。

一瞬の闇を抜けると、
そこは武家屋敷だった。

驚いて振り返ると、
木で出来た門があるだけだ。
 
あの鳥居は俗にいう、
「どこでもドア」だったのか……

ふと、兄弟が手首にブレスレットを
付けているのに気付いた。

黒い鎖……
さっきまで付けてなかった……
 
一人のおばさんが
屋敷から出てきて挨拶した。
彼女が案内役だろうか。

「風に凛、よく来たね。
あら…お友達?」
まじまじと姉妹を見つめる。

「楓と申しますー。
 こっちは妹の桜ですー。」
「まぁ、可愛らしい子達。
 二人ともお手伝いに来たのよね?」

私と楓は顔を見合わせた。
何の事だか……

「きっとそのうち分かるわ。
取りあえず、中へどうぞ。」