城に向かう道を進んだ。

香辛料や果物を買おうと
群がっていた人々は、
自然に道を開けながら、
異国で高貴な雰囲気に誰もが振り返る。

先頭を歩くアッサとクイルに続き、
楓と風が籠に乗り、
八人の仲間がそれを担いでいる。
その後ろを私と凛がゆっくり歩く。
 
こうして注目を浴びると、
私はますます緊張した。

私が気がかりだったのは、
一同が海岸とは逆の方向から
城に向かっている事だ。

城は港とゼノの家のちょうど
真ん中に位置し、
東洋からの使いなら当然、
港側から城に向かうはずだ
と思ったからだ。
 
門衛が賢くない事を祈る。

城に着く頃には、
陽が随分高く昇っていた。
クイルが門衛に紙の巻物を見せる。

彼らがその内容を理解した
とは思えないけど、
さっと目を通してから頷くと、
あれこれ道案内をしてから
私達を通した。

遠くから見た城は
優雅で立派な感じがしたけど、
近くで見ると何となくガサツだった。

たとえ壁が垂直で高くても、
表面がこれだけ荒削りなら、
ゼノ一族は簡単に登れてしまうだろう。