黒ずくめについて人気のない道を歩いた。

楽しそうに流行の歌を口ずさむ
風と楓の後ろで、 私は暗い気持ちで
凛の隣を歩いていた。

こんな勝手な男の鎖なんて
外せるのかと不安になった。

黒ずくめは裸足で、
踵を付けないように歩いている。
足の爪はぞっとする程長く、
分厚くて丈夫そうだ。

身体が大きいわりに
動きはしなやかで無駄がない。

一行は大きな家の前に着くと、
黒ずくめは中に入りながら
大きな声で叫んだ。

「ゼノ連れて来たぞ。東洋人だ。」
「何人だ?」この声、どこかで……
「四人。あと一人は仕方ないだろ。
 さぁ入いれ。宿泊先だぞ。」

 恐る恐る中に入ると、
 今朝のおじさんが
 偉そうに腰かけていた。

「おじさん!」
 風が心なしか嬉しそうに叫んだ。
「おや、この子達を
 連れてきしまったのかい。」
ゲラゲラ笑っている。

「おい、ゼノの知り合いか?」
「まぁな。だが丁度いい。
 こいつらなら話が早そうだ。」

動揺している黒ずくめの横で、
おじさんは満そうに頷いた。