夏休みが始まった。
私はこの長い休みが大嫌いだ。
 
学校に行けば、何も考えずとも
自然とやるべき事が
用意されているけど、夏休みは違う。

毎日ただ時間ばかりが過ぎて行き、
本当に馬鹿馬鹿しい。

何か新鮮で面白味のある事がしたい。
学生の誰もが一度は考える事だ。

「桜!とんでもない物拾ったよー」

三歳年上の姉である楓は、高校二年生。
誰が見ても仲のいい姉妹だけど、
いつだって楓のわがままに
私が振り回されがちである。

「ん?当たり宝くじとか?」
「いや、もっと面白いものー。」

二人の好奇心は、
小さい頃から半端ではない。
近くの川を上流まで上り、
戻れなくなった事もある。

あの時は運よく
釣り人が通報してくれたけど……
「ん!見せて!」

楓がポケットから取り出したのは、
真っ白で何も書いてない封筒だった。
中には真っ白な紙が入っていて、
綺麗な字でこうあった。