3年分のキス







「あ。そっ、か。ここで料理作ってるってことは、蓮の、奥さんか」



ぐさっ、と何かが心に刺さった。
確かにそうなのだけど、たかおちゃんに言われると傷つく。

″奥さんか″って
あなたのために、あなたのために、この道を選んだっていうのに。



そしてそれを彼の前だけでは認めたくない自分がいた。
咄嗟に、″違う″と言ってしまいそうな自分を制圧した。

そう、わたしは蓮の妻なのだ。




「あれ、違った?」



その言葉に、ふるふると首を横に振ることしかできなかった。
心は否定したいと叫んでいたけれど。




「やっぱりそーだよね」



そう言ってたかおちゃんは笑うんだ。

わたしと、他の男が結婚してて何が嬉しいっていうの。
ちょっと泣いてもいいかな…、なんて。


今ここでは泣けない。