「あ。そっ、か。ここで料理作ってるってことは、蓮の、奥さんか」
ぐさっ、と何かが心に刺さった。
確かにそうなのだけど、たかおちゃんに言われると傷つく。
″奥さんか″って
あなたのために、あなたのために、この道を選んだっていうのに。
そしてそれを彼の前だけでは認めたくない自分がいた。
咄嗟に、″違う″と言ってしまいそうな自分を制圧した。
そう、わたしは蓮の妻なのだ。
「あれ、違った?」
その言葉に、ふるふると首を横に振ることしかできなかった。
心は否定したいと叫んでいたけれど。
「やっぱりそーだよね」
そう言ってたかおちゃんは笑うんだ。
わたしと、他の男が結婚してて何が嬉しいっていうの。
ちょっと泣いてもいいかな…、なんて。
今ここでは泣けない。

