その声の主が誰か認識する暇もなく 足音が近づいてきて、わたしの左腕が掴まれた。 そして水が流れる音がして、指先が冷たくなった。 目が覚めた気がした。 「…大丈夫、か」 耳元で囁かれたその声に、わたしの心臓は止まった。 振り向きたいと思うのに、体が動かない。 ただ、腕を握られた部分だけが熱くなっていた。 水の音と時計の音だけがキッチンに響く。 「…おーい、どうした」 ばっ、と自動的に目の前に現れた顔に目を見開いた。 そして息を飲んだ。