「ねぇ、蓮」 そうわたしが呼びかけると ん?と優しい微笑みを彼はわたしに向ける。 「今日わたし、ずっとキッチンにいてもいいかな」 確か彼は、わたしも今日は挨拶か何かをしなきゃいけないって言ってた。 できることなら今は、人前に出ることは避けたかった。 ましてや、たかおちゃんが中にいる群衆の前で話すなんて。 そんなこととてもできそうになかった。 彼と会わないようにするための、せめてもの方法だった。 「そう、だね。また気分悪くなったらだめだしね」 ぽん、と彼はわたしの頭を撫でて言った。