母の姿は見えなかった 探すのも面倒だったし 部屋の中央にあるソファーに座って待つことにした しばらくすると扉の開く音が聞こえて母が部屋に入ってきた 「お久しぶりです」 わたしは立ち上がって頭を下げた 母はそれと同じようにお辞儀をした 「元気にしてた?」 彼女はわたしの前のソファーに座った 手にはなにか、大きめの革の表紙の本が握られていた わたしは頷くと、彼女は納得したように微笑んだ 「話って、何ですか?」 わたしが尋ねると 母の表情は一瞬にして険しくなった