3年分のキス






今まで幾度となく着せられてきたドレスなのに
いざ自分で自分に似合うものを、ってなると選べない

どれがいいのかなんて、わかるわけないじゃん


いっぱいあるドレスを手に取ってはまた戻し、手に取ってはまた戻し
優柔不断なわたしは迷いに迷っていた

ついにはどれも似合わないんじゃないか、なんて思い始めたときだった



「これなんて、似合うんじゃないかな」



後ろから声がしてびっくりして振り返った



「えっ?」


「だから、これ。君に似合うと思うんだけど」



後ろには、淡いピンクのドレスをわたしに差し出す男

見覚えは……ない。