今まで幾度となく着せられてきたドレスなのに
いざ自分で自分に似合うものを、ってなると選べない
どれがいいのかなんて、わかるわけないじゃん
いっぱいあるドレスを手に取ってはまた戻し、手に取ってはまた戻し
優柔不断なわたしは迷いに迷っていた
ついにはどれも似合わないんじゃないか、なんて思い始めたときだった
「これなんて、似合うんじゃないかな」
後ろから声がしてびっくりして振り返った
「えっ?」
「だから、これ。君に似合うと思うんだけど」
後ろには、淡いピンクのドレスをわたしに差し出す男
見覚えは……ない。

