イカロス

その夜、斉藤は悪夢にうなされていた。
夢の中で彼は、空高くそびえる岩山の頂上に裸で大の字に横たわり、身動きひとつ取れないでいた。目に入る空は、斉藤をあざ笑うかのように見事な晴天であった。
(ええい、天気もいいし僕もなぜだか素っ裸だし、なのに動けないとは・・・!しかし、手足が戒められていないのに、なぜに動くことができないのだ)
山の麓からであろうか、心地よい風が斉藤のデリケートゾーンをなでた。
(嗚呼ッ、その部分に自信アリ!だがなぜだ・・・僕の体を戒めているのは、他でもない、その部位であるような気がする)
斉藤は自らの下腹部を見ようと、重い頭を必死にもたげた。