「土方さん・・・気がつかないんですか?」
沖田は土方の様子に異変を感じた。
「なんのことだ?そういえば斉藤、お前、今日はなんだか変だな・・・」
斉藤が両手を前に伸ばし、いや、正確には斉藤を操っている近藤が手を伸ばしながら、土方につめより、抱きついた。
「駄目ナリーッ!この様なサンドイッチは駄目ナリよ、僕のカラダーッ!」
「なにをしているんだ、斉藤?」
土方は組み付いてくる斉藤の頭を困り顔で見下ろした。
「沖田!今こそハンバーガー四個ぶんの男だらけのメガマック!土方の背後に回り込むのだ!」
斉藤の背中に盛り上がった、コブのようにみえる近藤の頭のふくらみが叫んだ。
「近藤さん、そんなことを言っている場合ですか!土方さんを正気に戻さないと!」
沖田が悲痛な声で言い返す。そして彼は袴の裾をまくり上げ、うつろな目の土方に見せつけた。
「土方さん見てください!今日の僕の足袋はニーソ使用です!」
「ぎゃあぁぁぁ!」
沖田の声に答えたのは斉藤の悲鳴だった。
「こっ、このような・・・!沖田さんのニーソ発言に、見えないだけに妄想を膨らませてしまったピーターパンが、ゼロ距離から夢も膨らませて空も飛べるはず・・・!負けるものか!おきゃあ!」
「ヒイィィィ、はじめちゃんんんんっ!」
斉藤の体から二つの悲鳴が上がり、それは床に倒れこんだ。足もとに転がる不埒な肉塊を、土方の感情のない視線がさめざめと見下ろしていた。