もう初夏だといっていい季節なのに、朝からの霧雨で空気はひんやりとしていた。
新撰組本部、別名オトコパレスでは、近藤・土方・沖田・斉藤の四人が庭の見渡せる部屋で昼間からゆるゆると酒を酌み交わしていた。
「局長さん、耳寄りな情報があるのですが」
少年の笑顔を持つ悪魔、斉藤が局長につとにじり寄る。
「なんだいハジメちゃん?素敵な情報だったらいくらかマニーをあげよう」
「じつは沖田さん、ワキなんかつるっつるなんですよ」
斉藤の赤い唇の両端が吊り上げられ、艶ややかな三日月形になる。
「ハジメちゃん、君は私の心の琴線に触れるのがとても上手だ。それ、お小遣いをあげよう」
近藤は袖の下からいくらか銭を出して斉藤の手に持たせた。