砂利の浜に 座り

ウェットスーツの中に タオルで包んで

入れておいた バドワイザーを 取り出した

ボールがラケットにヒットする音を 聞きながら

ひとり いまいち盛り上がらない リゾート気分を楽しんでみた


山にかかっていた霧が 気のせいか

少しずつ 降りてきたようだ

晴れれば もう少し 風も吹くだろうが

それどころか 

ますます 山々が 白く覆われてゆく

”戻ったほうが よさそうだ”

空き缶をスーツに挟み セイルを立てた


元の岸に向かい ボードを進める

だんだん まわりが白くなってくる

湖の真ん中あたりまできた


風が消えた

”ヤバい”

マストを立てているだけで重い  煽らないとボードは進まない

気のせいか  キャンプ場の 声も

モーターボートのエンジンの音も 静かになっている


そして・・ 真っ白な闇の中 右も左も 前も後ろも見失った
  

静寂 と 無風 と 白い壁


何も見えなくなった・・