穂苅さんの日常


ぼーっと血だまりを見てると
不意に自分がここに居いることが
不思議になってくる
幼い頃遊んだ公園で
俺はずっと遊び続けるはずだった
独りで石蹴りして
独りでブランコに乗って
初めてシーソーで遊んだ時に
やっぱり俺と同じ独りの子が
俺の向かいに乗ってはしゃいでた
俺が帰るって言ったら
まだ遊ぶんだって言って泣いたんだ

指を伸ばす
届かないものに向かって
戻らないものに
失ったものに
それでも朝は来て
なんとなく始まる日常に慣れて
今は俺の相棒で神さまのナイフと
死ぬまでのあいだ旅を続ける

なぁ、これは現実かい?
(現実があればな)
じゃあ、俺は生まれた時から夢を
(見ていたのかもな)

俺と同じ独りの子と遇ったよ
その時俺はあの公園の一瞬が
目の前をよぎったんだ
あの感覚って久しぶりでさ
俺の背中の髑髏が好きだって
変わってるよな
俺の背中に額をつけて
泣いてたんじゃないかな

俺はちょっとだけ後ろを見たくなった
懐かしさにちょっとだけ