天神学園大新年会

「す、すみません八鶴君…」

秋帆は眼鏡を外して目を擦る。

「何かあったの?」

「キスの時何か嫌な事でも?」

心配そうに言う真菜とチカに。

「嫌な事なんてないです…雛菊ちゃんとキスできた事は嬉しかったですけど…」

秋帆はドヨーンと落ち込む。

「僕は…雛菊ちゃんとのファーストキスは夜景の綺麗な場所とか、イルミネーションのついた公園とか、そういう場所を思い描いていたんです…なのに学校の屋上の給水塔の近くで…しかも雛菊ちゃんに顔を掴まれて、こう…」

「…軽いトラウマですね」

抑揚のない声でイリアが言った。