数回のコール音の後。

『もしもし？』

聞き慣れた蒼い髪の少女の声が聞こえる。

「あーもしもし？アリスカか？龍娘だ」

『明けましておめでとうございます』

ロシア人なのに日本語で正月の挨拶なのだな…。

妙な事を不思議に思いつつ。

「今暇か？よかったら初詣にでも…」

『え？あ、えーと…』

戸惑うようなアリスカの声。

その電話口の向こうから。

『なになに？アリスカちゃん誰と話してるの？』

『ほらあ、啓太がしっかり相手しないからアリスカちゃん退屈してるじゃない！』

『ちょっ…深雪さんも理子さんも声大きいですよっ』

何故か眼鏡男子の声が聞こえた。

（こりゃあ邪魔をしたかもな…）

苦笑いしつつ、適当に取り繕って龍娘は電話を切った。