(なんかもういい匂いするやら柔らかいやらいい感触やら夢見心地やら恥ずかしいやら嬉しいやらいい匂いするやら)

『いい匂い』二回言うとるがな。

そのくらい頭の中が大パニックな秋帆。

雛菊は尚も無言のまま、秋帆の胸元にピッタリと寄り添う。

(何ですかこれ何ですかこれ何ですかこれ何ですかこれ何ですかこれ何ですかこれっ!)

目をグルグル渦巻き状にして、二人の魔性の女に翻弄される小動物。

上半身は雛菊に、下半身はこはくに、ベッタリと纏わりつかれてしまっている。

二匹の蛇に絡め取られたハムスターのように見えなくもない。