その逸品で奏でる不協和音の中。

「ふぅむ…」

ゆりは頬杖をついたまま、宴会場に視線を走らせる。

「秋帆先輩と雛菊先輩…シュア先輩とレーヴちゃん…アルフレド先輩と筱萠先輩…翡翠先生とこはくさん…」

小さく呟く彼女に。

「あらあ、ゆりちゃん…また悪い事考えてるでしょ?」

宴がしなだれかかるように、ゆりの隣に座った。

その名の通り宴会を楽しんでいる宴。

彼女は見た目未成年だが、主である河原院 融同様の人外だ。

故に年齢も人間の生徒達よりも遥かに上。

御屠蘇を飲んで、ほんのり頬が色づいている。

その妖艶さたるや、まさしく人間の女には醸し出せぬもの。

色香に同性のゆりですら、クラリとしそうだった。