*short.short*



*Marriage ceremony*


花びら舞い散る教会の入口付近には、純白のウエディングドレスの花嫁と、純白のタキシードの花婿。


人生最大の儀式。
結婚式と言うイベント。


この世で今最も幸福な笑顔を見せて、花嫁はクルリと背を向けた。


その瞬間、一気に女の子達が色めき立つ。


ブーケトス。


それを掴んだ人は次に結婚できるとか。


そんな伝説みたいな事を本気にしている訳はないだろけど、女の子達は悲鳴に近い歓声を上げながら、両手を高く挙げていた。


その勢いに邪魔にならないように、オトコ共は後ろに身を引いた。


と言うか、後ろの方に押しやられた…


「いくよー!いーち、にー、さーんっ!ダァーッ!!」


花嫁の掛け声と共にブーケは高く舞い上がり、女の子達の手の上を通過して。


……ポスッ。


俺の手の中に。


………え?
ナニコレ?


「あはは♪ごめーん。強く投げすぎた」


凍り付く女の子達の視線を一気に浴びながら、俺は引きつっていた。


「アイツからブーケ奪っちゃえ!」

「ちょっ…、姉貴っ!」


もう人妻なんだから、いい加減そう言うノリはやめて欲しいと言いたいが、この花嫁の弟を25年もやってきた俺は、そんな事言っても無駄だって分かってる。


何より言ってる暇もない。


女の子達が俺目掛けて、目の色を変えて襲いかかってきた。


本来なら、一度にこんなに沢山の女の子達が寄って来たら嬉しい筈なんだろうけど、何せ目的は俺じゃなく、俺が手に持っているブーケ。


逃げようと後ずさる暇もなく、俺は女の子の大群に押し倒されてしまって、ひとりの女の子が俺に馬乗りになり、俺からブーケをむしり取った。


「やったー!ブーケゲットー!」


俺の腹の上で高々とブーケを掲げる女の子。


















その女の子と今日。


初めて出逢ったこの教会で、人生最大の儀式を迎える日が来るなんて、その時は思ってもみなかったんだ。


*end*