*Class reunion*
数年ぶりに地元に帰省して、同窓会に行く途中、突然雨が降りだした。
傘を買おうにもここは田舎で、辺りにはコンビニすら見当たらなくて、バッグを頭の上に乗せ、小走りでバス停へと急いだ。
おろしたてのハイヒールは革製で、濡れて赤い色が色濃くなり、どす黒くくすんで、おまけに縮んでしまって、少し窮屈になってしまっていた。
バス停のベンチに腰かけて、靴を片方脱いでみた。
「あーあ……、この靴、高かったのに、台無し…」
地元の同級生達に、都会で優雅に暮らす女だと思われたくて、見栄をはり、ブランド物で全身を覆ってはいるけど、来月からのクレジットの支払いに、かなりの節約生活をしないと生きていけないと言う現実。
地元の短大を卒業して、田舎暮らしが嫌でたまらず、都会に憧れ、一人暮らしを始めたものの、都会に馴染む事が出来ずに、向こうではダサくて地味なだけの女なのに。
こんな事して……
一体何の得があるんだろうか。
「ははっ……、バカみたい…」
何やってんだろ……あたし…
なんて思っていたら、バシャバシャと足音を経てながら、バス停へと走り込んでくる男の人。
その人は犬みたいに頭を振って、濡れた髪の毛を振り回した。
水滴が私にかかり、ムカついた私は。
「ちょっと!」
「へ?」
「水!飛んできた!」
「えっ?スンマセン……、って、お前…もしかして…」
「え?」
「やっぱり!俺だよ!俺!同じクラスの!」
「え?……あっ!ああ!」
男は同級生だった学生時代の初恋の人。
「もしかして、お前も同窓会?」
「う…、うんっ」
「俺もなんよ、元気しとった?」
地元の言葉で、当時と変わらない、屈託のない笑顔を向けてくる彼に、懐かしさと同時に今まで沈んでいた気持ちも徐々に浮上してくる。
バスが来るまで、学生時代の頃のように、ベンチに二人並んで座り、思い出話に花を咲かせていた。
飾らない、気取らない彼とのお喋りは学生時代に戻ったみたいでとても楽しくて、毎日気を張って、作り笑いを浮かべるだけの毎日だった私はこんなに笑ったのは久し振りだった。
「やっぱり地元がいちばんやねー」
会話が途切れて、ポツリとそんな事を言ったら。
「戻ってくれば?」
「んー…、そうしようかなー、でも仕事見つけんの大変そうやなー」
「就職先、一緒に探してやるよ」
「え?ホント?」
「……ただし、条件がひとつ」
「なになに?」
「俺と付き合って」
「え…?」
「高校ん時から、ずっと好きやったよ……、お前ん事」
*end*

