*Halloween*
大学の同級生に誘われて、クラブのハロウィンイベントにやって来た。
正直。こんなクラブのイベントなんて初めてで、無茶苦茶浮きまくってる私。
周りの人達はみんなモンスターやアニメや漫画のキャラのコスプレしていていたり、派手な衣装を身にまとい、踊ったりアルコール片手に楽しげに談笑したり。
いくら他の友達にドタキャンされたとは言え、私なんかを誘った友達もどうかしてる。
その友達も魔法少女に変身してしまって、ここに来た途端に姿を消してしまい、私はどうしたらいいのかもわからないまま、なるべく隅っこの目立たない壁際に背中をくっ付け、途方に暮れていた。
……もう…、帰ろうかな…
なんて考えていたら。
「Trick or Treat!」
目の前に、めっちゃイケメンのドラキュラが突然現れ、私にそう言ってきた。
「え?…えーっと……」
「お菓子くんなきゃイタズラしちゃうぞ?」
えーっ?お菓子っ?
目の前のドラキュラは、両手の指先をこちょこちょの動きにさせて私に近づいてくる。
お菓子なんか持ってないよー!
私は慌ててバッグの中をガサゴソと探ってみた。
あめ玉くらいは入ってないだろうか?
あっ!あった!
眠気覚ましの干し梅が!
「あのっ!これっ…」
干し梅の袋を掴んでバッグから取り出そうとしたら。
「はい。時間切れー」
「え?」
ドラキュラは私の肩を掴むと首筋に顔を近づけてきて。
かぷ。
「ひゃあっ!」
噛みつかれてしまった。
噛まれてるーっ!!
血ー吸われてるーっ!!
いやあーーっ!!
「こちそーさま」
ドラキュラは私の耳元でそう囁くと、次に耳たぶをペロリと舐めた。
私はガクリと力が抜けてしまって、その場に崩れ落ちた。
するとドラキュラは私の目線までしゃがみこんで。
「唇もおいしそ」
そう言って微笑むと、私の頬を両手で優しく包み込んだ。
ドラキュラに血を吸われちゃったから、もう私はこのドラキュラの言いなりなのかな……?
ハロウィンの夜に出会ったドラキュラに、私の心は完全に奪われてしまった。
私はゆっくりと瞼を閉じる。
*end*

