*short.short*



*Athletic meet*



澄みきった青空。


色とりどりの横断幕と、
お腹に響く太鼓の音と、沸き上がる歓声。


中学生活最後の体育祭。


−−パァン!


スタートの音と共に一斉に駆け出す男子達。


障害物ありの借り物競争。


跳び箱を飛び越えて平均台、その次にネットを潜り、さらには竹馬で借り物のカードを取りに行く。


一番乗りでカードを手にしたのは、教室であたしの前の席の男子。


彼はカードを一瞥すると、あたし達のクラスの陣地に真っ直ぐに走ってきて。


「来いっ!」

「へっ?あたし?」


彼はあたしの腕を掴み、そのままあたしは彼に引きずられるように、前のめりになって彼の背中を見ながら走った。


「ねえっ!借り物何だったの?」


あたしの問いには答えずに、彼はカードと借り物を確認する為に、ゴール手前に立つ先生の元へと走る。


彼は無言で先生にカードを見せると、先生はニヤリと笑って。


「OK。行ってよし」

「ねぇ。先生、なんて書いてあるの?」

「んー?……本人から聞け」

「おらっ!行くぞ!」


結局借り物が何かわからないまま、あたしは再び彼に腕を引っ張られ、一着でゴールテープを切った。


「ねぇってば!借り物何だったの?」

「……お前には関係ない」

「はあっ?ここまで走らせて、関係ないって何!?」

「うるせーな。知らなくていいんだよ」

「むーっ!頭きた!いいもん!先生に聞くから!先生ーっ!」

「うわっ!やめろ!」


カードを見せて貰おうと、先生の方に駆け寄ろうとしたあたしの横を、彼は疾風のように走り抜けた。


なんと彼は借り物のカードを先生から奪うと口の中へ。


「ちょっ!お前!紙食うなよ!」

「モグモグモグ……ゴクンッ…」


……食べてしまった…


そこまでしてあたしに知られたくないなんて……


一体なんて書いてあったの?
ますます知りたいっ!


「先生−。何が書いてあったの?教えて!」

「言ったらコロス!」


不機嫌にギロリと先生を睨む彼とは裏腹に、先生は満面の笑みで。


「ははは!まだ死にたくはないから、黙っとくよ」

「えーっ?!最初の一文字だけでも教えてよー!」

「最初は『す』だよ」


…………スッポン?



*end*