*short.short*



*Elevator 2*


−−ピンポーン…


あ。来た。


ガスコンロの火を消して、パタパタとスリッパを鳴らして玄関へ。


ロックを外してドアを開けると。


「こんばんは」

「こんばんは。どうぞ」

「お邪魔します」


彼はスニーカーをきちんと揃えて部屋に上がると。


「これ、おみやげ」

「わ、ありがと、何かな?」


コンビニの袋を覗いて見てみるとプリンがふたつ。


同じマンションの5階に住む彼と、エレベーター内で告白されて、付き合い始めたのが約3ヶ月前。


お互いの部屋を行き来するようになったのは約1ヶ月半前。


「えーと…、何か飲む?ビール?ワインもあるけど」

「じゃ、ビールで」

「了解。ちょっと待っててね?」


冷蔵庫から缶ビールを取り出して、それをテーブルに置く。


いつもと変わらない私の部屋なのに、彼がここに居ることで、まるで違う空間になったみたい。


食事を終えると、彼チョイスのDVD観賞会。


「あれ?これブルーレイ見れないじゃん」

「え?ブルーレイなの?」

「うん。映画見るならブルーレイでしょ?普通」

「見れればどっちでもいいじゃない」

「いーや。画質が全然違うから」

「…そっか…、今度テレビ買い替えるよ、もう少し大きいの欲しかったし」

「何もわざわざ買い替え無くても…勿体ない」

「今夜はあなたの部屋で見よう?」


同じマンションだし、エレベーターで上がるだけだし、こんな時って便利だよね。


彼と部屋を出て、エレベーターが来るのを待っていると。


「いい事思いついた」

「え?何を?」

「こんなに近くに住んでんのに、いちいち行き来するのめんどくない?」

「そうでもないよ?だって上に上がるだけだし」


素っぴんでも大丈夫だし。


「俺がめんどくさいの」

「そう?」

「直ぐに会えるけど、もっと一緒に居たい」

「頻繁に一緒に居るじゃない」

「………言い方代える…、ずっと一緒に居たい」

「え?」


−−ピン。


エレベーターが止まり、扉が開いた。


「俺んち、引っ越して来なよ」



*end*