*short.short*



*Packed train*


「おはよう」

「おう。おはよ」


満員の通学電車。


ホントはもう何本か早めの電車に乗って、ゆったりと登校したいんだけど、同じクラスの彼と一緒に通学したいが為に、わたしは毎朝この電車に乗ってるの。


「今日も混んでんなー」

「だよねー、朝から憂鬱になるよねー 」


憂鬱なんて嘘。


混みあってるから、彼との距離が凄く近くて、ずっとこのままでもいいのに。とか内心思ってる。


−−ガタン!


車内のちょっとした揺れに、つり革に掴まっていないわたしの身体は不安定に揺れてしまい、慣性の法則で彼の胸元に引き寄せられ、額をぶつけてしまった。


「わっ。ごっ、ごめん!」


慌てて身体を離そうとするけど。


「いたっ…」

「髪の毛……、絡まってる」


どうやら彼のシャツのボタンにわたしの髪が絡まってしまったらしい。


「ごっ、ごめん。すぐとるから……、あれ?…えいっ……、どうなってんの?これ?」


外そうとするけど、電車は揺れるし、彼との距離があまりにも近すぎて、緊張してしまって、外す処か余計に絡まってしまった。


「ごめん…、とれない。電車降りたらハサミで切るから、それまで我慢して」

「え?切るとかやめて」

「だってとれないし」

「だったら、このままずっとくっついてようか?」

「え?……、うあっ?」


次にわたしの身体は押し寄せる人混みで、さらに彼と密着してしまい。


「……実は俺さ?お前と毎朝登校したくて、この電車乗ってんだわ」


頭の上から彼の声がして。


嬉しくて。
でも、恥ずかしくて。
顔を上げられず、彼の胸元に額を押し付けたまま。


「………わたしも」


わたしが小さくそう呟くと、彼はわたしの頭に顎を乗せて。


「俺…、このままずっと、電車に揺られていたいかも…」



*end*