*short.short*



*Feeling*



噂で聞いた。
好きな人がいるって。


でも諦めの悪いあたしは、彼の側から離れたくなくて、仲の良い女友達って位置をずっとキープしたまま、かれこれ1年が経つ。


もういい加減諦めて、次の恋を探そうとするけど、彼以上に好きになれそうな男がいまだ現れなくて。


別に、男が欲しい!って、思ってる訳じゃないけど、この報われない想いから早く解放されたいだけ。


なのに。


「ね?お前好きなヤツ居んの?」


何でそんな事言うかな?


大学のサークルでよく利用してる居酒屋に彼に誘われて、ちょっと大丈夫?ってくらいのピッチで飲んでた彼が不意にそんな事を言うもんだから、なんてデリカシーの無い男だと半ば呆れながら。


「あんたに関係ないでしょ?!」


つい声を荒立ててしまった。


「なぁ?居んの?」


そんなあたしのヒステリックな物言いなんか全然気にしてないように、さらに彼は聞いてきた。


居るわよ!
目の前に!


って言ってやりたいけれど、言ったところで、自分が可哀想になるのが分かっているだけに言葉に詰まる。


なんとか話題を変えなくちゃと思って、テーブル越しに、酔いのせいか熱っぽい視線でじっとあたしを見ている彼から視線を反らしながら。


「……ちょっと…、飲みすぎなんじゃない?酔ってんの?」

「……酒の力借りなきゃ、こんな事言えねーよ…」


彼は手に持っていたビールをぐいっと一気に呷って、空になったジョッキをテーブルに置くと。


「お前に好きなヤツが居るっての、ホントは…、分かってんだ…」

「ちょっ、いきなり何言ってんの?」

「お前と、これ以上いいオトモダチで居たくない」

「どう言う意味よ?」

「ダメならダメで、バッサリ切ってくれ」

「人の話聞いてる?」

「そしたら潔く諦めるから」

「あのねー…」


ダメだ。
会話が成立しない。


「俺の事、好きになって」

「へ?」

「好きになってよ」


……そんな事言われたって。


もうとっくに好きなんですけど……


*end*