*Necktie*
…ピピピ…ピピピ…
「……ん」
耳障りな携帯のアラーム音で、次第に覚醒し始めて、そろそろ起きるようにと、脳内が私の身体に命令を出す。
重くまだ開かない瞼では、その電子音の発信源が分からなくて、片手を伸ばしゴソゴソと辺りを探る。
指先に触れる慣れた感触がして、重い瞼は閉じたまま、アラームを解除する。
あと………、5分だけ…
再びシーツの海に沈もうとしたら、首筋に感じるしっとりとした暖かな感触。
ん?……なにこれ?
うっすらと瞼を開けると、視線の先にあるのは、すらりと延びた長い腕。
……腕?
首筋に感じる規則正しい呼吸に、恐る恐る顔だけで後ろをゆっくりと振り向けば。
「せんぱっ……」
思わず大きな声が出そうになって、慌てて口を噤んだ。
せせせ先輩っ?!
ななな何でっ?!
ここ何処?!
しっ…、しかも何でお互い裸っ?!
なんか当たってるっ!
腰の辺りになんか当たってるう−−っ!!
私の後ろですやすやと寝息を経てている彼は、会社の同じ課の先輩。
こっ、これは、あれよね?
酔った勢いの過ち……
ってヤツ?
昨夜は社内コンパで飲み会があったのは覚えてるんだけど、先輩が私の隣の席で緊張しちゃって、それをまぎらわせようと、ガンガンビールをあおっていたような気がする……
うわああぁぁっ!
何やってんの?私っ!
好きな人の前で記憶無くなるまで飲んで、挙げ句の果てに……
絶対に軽い女だと思われてる!
そうだ、先輩が目を覚ます前に……
……逃げよう……
ゆっくりと身体を起こそうとしたら、手首に違和感。
見てみると、私の手首と先輩の手首にネクタイが結ばれて繋がっていた。
何っ?これ?
ほどこうとするけどきつく結ばれていて、外す事が出来ない。
「何やってんの?」
「はひっ?!」
「ほといてどうすんの?」
「えっと…」
「逃げないようにきつく結んどいてよかった…」
「…はい?」
「酔った勢いなんて言わせないから、シラフのお前も今から抱く」
先輩の手によって、私は再びシーツの海の中に沈められてしまった。
*end*

