*short.short*



*Bartender & kitten 2*


9階建てのビル。
地下1階のライブハウス。


何度も通って、それなりに顔見知りも出来てきて、最近では一人でも来れるようになった


私がここに毎週通っているのはライブ目的なんかじゃなくて。


ステージには目もくれずに、バーカウンターへと足を運ぶ。


「こんばんはー♪」


「こんばんは。仔猫ちゃん」


私の事を仔猫ちゃんと呼ぶバーテンの彼の事が目的で、週末はここへとやって来る。


お腹に響く重低音も、煙草の香りが充満する箱の中にも随分慣れてきた。


スツールに腰かけて彼の目の前に座る。


「いつものね」


と、かっこよく注文するけど。


「はいはい。いつものね」


お酒がまだ飲めない私は、ノンアルコールのプッシーキャット。


だから彼は私を仔猫ちゃんって呼ぶの。


お酒はまだ飲めないけど、今年の4月、晴れて大学生になった私は、メイクも服装も意識して、ぐっと大人っぽくしているつもり。


彼に私を意識してほしいから、今日だってちょっと胸元が開いた、セクシーなミニのワンピ。


なのに…………。


彼はいつもと変わらない態度で、少しくらいは私の事意識してくれてもいいじゃない。と軽く落ち込む。


「お?今日どーしたの?カワイーじゃん」


顔見知りになった大学生の男の子が、私の隣に腰かけてきた。


「え?可愛い?」

「うん。カワイーよ」


ほら、やっぱり、頑張って着てきてよかった。


「持って帰りたいな?」

「へ?……ひゃっ?!」


男の子はスツールごと私を引き寄せた。


「ね?今から二人でどっか行かない?」

「はい。ストップ」


いつの間にか彼が私の後ろに立っていて、スツールから私を下ろすと、自分の後ろへと隠した。


「これは俺がこれから大事に育てるの、だから諦めてね?でないと……」


彼は男の子に何やら耳打ちし、男の子は慌ててその場から居なくなってしまった。


「仔猫ちゃん?もうそんなカッコで来ちゃダメだよ?」


私はこくんと頷いた。


*end*