*sayonara*
とても嬉しい事があるの。
それは貴方が以前のように、よく笑うようになった事。
五年前の貴方は、悲しみの海に包まれて、溺れてしまうんじゃないかってくらいに心が沈んでしまっていて、わたしはそれが心配で仕方なかった。
一年経っても二年経ってもそれは変わらなくて、私はそこから動き出す事が出来なくなってしまっていたの。
でも、三年目の桜が咲く頃から貴方は少しづつ前に進んで行けるようになってた。
それでも時折見せる悲しそうな表情は相変わらずで、私は貴方に対して申し訳なさでいっぱいだった。
突然貴方の前から居なくなったりしてごめんね?
出来る事なら貴方とずっと一緒に過ごして居たかったんだけど、それは叶わぬ願いだったみたいで。
私は貴方の前から居なくなってしまったの。
ホントに、ごめんね?
でも、よかった。
やっと貴方は笑ってくれるようになった。
貴方の笑顔が大好きだった。
だから貴方にはいつも笑っていてほしい。
貴方が笑顔でいてくれたら私も笑顔でいられるの。
これでやっと安心出来る。
私の事は忘れて?
なんて事は言えないけれど。
貴方の隣を歩くその人と、どうか幸せになって。
いつまでも笑顔を絶やさないで。
そして、ほんの少しだけ、心の片隅にでもいいから、時々私の事を思い出してほしいな。
なんて。
これは私のわがままだよね?
ああ。
そろそろ行かなくちゃ。
貴方が私を今日まで繋ぎ止めていたなんて知らなかったでしょ?
私もこれから幸せになりに行くよ。
貴方に負けないくらいにね。
だから私は少しも悲しくなんかないよ。
いや……、ちょっとは悲しいかな?
ふふふ。
………あ……
だんだんと貴方の姿が見えなくなってくよ……
私……、貴方を好きになってよかった。
この気持ちをありがとう……
さようなら。
大好きだった貴方。
*end*

