*Lovers 1*
まさかこんな漫画やドラマやケータイ小説みたいな状況に自分が置かれているなんて……。
見知らぬ部屋に見知らぬベッド。
お互い裸で、あたしを抱きしめ、規則正しい寝息を経てて眠る男。
なんてベタな……。
ひとつだけベタじゃないのは、あたしはこの男を知っていると言う事。
普通は見知らぬ男か、会社の上司か。
って設定でしょ?
この男はあたしの行きつけのbarの、ちょっといいかなっ?て思ってたバーテン。
週末会社の帰りに友達と飲みに行く約束をドタキャンされて、そのまま帰るのもあれだったから、一人でライブに行って、軽く二三杯引っかけて、踊りまくってスッゴいテンション上がっちゃって。
その勢いのままbarまでやって来たのは覚えてる。
けど。
そこから先は覚えてないんだよね−……。
あははは……、はぁ…
取り合えず、起きなきゃ。
お腹に回された腕をそっと外して起き上がろうとしたら。
「痛ぁ−…」
やっぱり二日酔いで。
「……ん、…起きた…、か?」
眠そうな声がして。
「………うん」
「…まだ、寝てろよ」
「……あのさ?」
「ん?」
「一応、確認…、昨夜さ?…あの……、した?」
「した」
「………ははは…、そか」
「うん」
「…あーあ…、もうお店に行けないや…」
「何で?」
「だって……、ねぇ?…やっぱり、さぁ…」
あたし、あなたの事、気になってたんだから。
恥ずかしくて行けないよ。
なんて。
あなたは遊びのつもりだろうし、既にしちゃってる訳だから、そんな初で可愛らしい事言える筈もなくて。
せめて…、覚えてたかったな。
「色々と…気まずいじゃない…」
「何で?」
「……彼女、でもないし…」
「は?何言ってんの?俺、彼女にしかこう言う事しないし」
「へ?……、彼女?…誰が?」
「お前が」
「あたしが?」
「うん」
「いつから?」
「昨夜から」
「昨夜から?」
「うん。昨夜から、俺の彼女、お前」
*end*

