*short.short*



*Bartender & kitten 1*



友達に誘われて連れて来られた初めてのライブハウス。


友達の顔見知りなのか、怖そうで、厳ついお顔のお兄さん達が、ふざけてからかって来たりして。


友達は慣れているのか、私がからかわれていても、笑って見ているだけで。


演奏が始まると、その友達もお兄さん達の姿も、人混みに紛れて見えなくなってしまった。


決して広くないこの箱の中はぎゅうぎゅう詰めで、煙草の匂いと、人混みの熱気と、お腹に響く重低音と。


私は軽い吐き気を覚えて、比較的に人の少ない、バーカウンターへと移動した。


確かに1ドリンク無料だって友達が言ってた。


取り合えず冷たい物が飲みたい。


私はチケットの半切れをカウンターに置いてバーデンの男性にウーロン茶をオーダーした。


「顔色、よくないね?」


男性はカウンターにウーロン茶を置きながら私にそう聞いてきて。


「うん。こう言う場所、初めてで…」

「だろうね?仔猫ちゃんが迷い込んで来たのかと思ったよ」


私、その一言にムッときて。


「子供じゃないもん、もうすぐ卒業だもんっ」

「高校生?」


ハッ……!しまった!
高校生は立ち入り禁止だっけ?


「ちっ、違うっ!大学?そっ…そうっ…大学生だもんっ」

「…ふーん。大学生…、ねぇ…」


男性はニヤニヤ悪戯っぽく笑いながら、シェイカーからグラスに淡橙色の液体をグラスに注いで私の前に差し出した。


「コレ、俺の奢り」

「へ?…、あたし、ちょっと、アルコールは…」

「酒じゃないよ、プッシーキャット、高校生の仔猫ちゃんにはちょうどいいよ、柑橘系だから、気分もよくなるよ?」


もしかしてバレバレ?


「……い…、いただきます」

「どうぞ?」


結局ウーロン茶には手をつけず、プッシーキャットを一口飲んだ。


「美味しいっ!」


広がる柑橘類の爽やかな酸味に気分も良くなって。


「でしょ?」


カウンターに頬杖をついて、私を優しく見つめる男性にドキンとしてしまって、周りの騒音もいつの間にか吹き飛んだ。


来週も…、またここに来よう。



*end*