*Fingertip*
少しだけ骨張った、でもゴツい訳ではなくて。
するっと伸びた指は長くてしなやかで。
爪はほんのりピンク色してて、白い手の甲に青い血管が流れいて。
あまりにも綺麗なその手に吸い込まれるように、バーカウンターの上に置かれたその甲の血管部分を、いつの間にか指でなぞってしまっていた。
「………何?…、逆ナン?」
「え……?…ごっ、ごめんなさいっ」
私は慌て手を引っ込めた。
会社の帰り。
今日は何の予定も無いから、週末にたまに一人で訪れる、お気に入りのバーに来ていたんだけど。
いつも気さくに話しかけてくれるバーテンのお姉さんは今日は休みみたいで。
一人でちびちびモスコミュールを堪能していたら、視線の横にスッと置かれた手に、無意識に触れてしまっていた。
「ハハッ。別に引っ込めなくても…、スゲー気持ちよかったのに」
隣に座る綺麗なその手の男性がそう言って。
私は自分でも信じられない行動に、思いきり動揺してしまって顔がカッと一気に熱くなってしまった。
「もっと、触ってくんない?」
「……いえ…、ごめんなさい、あの、貴方の手が、あまりにも綺麗だったから、つい…ホント…、すみません…」
もごもごと俯いて言い訳をする私の頬に貴方のその綺麗な手がのびてきて、私は初めて男性の顔を見た。
「綺麗な唇だね?触ってもいい?」
そのしなやかな指先が私の唇に触れる。
微かにウォッカの香りがして。
「……もう、触ってるじゃない」
「あまりにも綺麗だったから、つい、ね…」
貴方の指が唇から耳の辺りまで移動してきて、その指先が私の耳を挟んで包み込んだ。
「ね?口説いてもいい?」
*end*

