偽恋愛上等ッ!!【短編】


「コウ!!」

里奈が言った。
『コウ』が振り返る。
部活仲間らしき数人と一緒に目の前を歩いている。

「‥‥あ」

『コウ』は立ち止まって、
一瞬気まずそうな顔をした。


「何であたしのこと騙したの‥‥!?」


里奈が言うと、『コウ』は小さな声で
「‥‥何のこと?」
と言ってまた歩き出した。


その瞬間、あたしは『コウ』の腕を後ろからつかんだ。
自分の行動に自分でも驚いたけれど、
それよりも今は怒りの方が何倍も大きい。

何なの、コイツ!?
腐ってるよ!

「あんた、最低だよ!
好きとか嘘ついて里奈をだまして!
『済んだヤツはいらない』なんて!」


そう言ったあたしの声は、自分でも驚くくらい大きくて
我に返って周りを見ると周囲のみんながこっちを見ている。

『コウ』もそれに気づいて
気まずそうな顔をした。

でも、次の瞬間、へらへら笑いながらこう言った。

「てかさぁ、騙したとか言うけど
ソイツが俺のこと大好きみたいだから遊んでやっただけじゃん?
お前、まだ俺のこと好きなんでしょ?ちょっとはさ。」


それを聞いてあたしは完全にブチ切れた。
「はぁ!?あんた‥‥」


「ふざけんな!!誰がアンタなんか!」
あたしの言葉をかき消して、里奈が言った。

「最初は騙されたけど、アンタみたいな腐ったヤツ好きなわけないでしょ!?」


ぶち切れて言う里奈を見ても
『コウ』はへらへら笑ったままだ。

その様子を見て、あたしの怒りはさらに増した。

最低なヤツとは知ってたけど
ここまで腐ったヤツだなんて!