偽恋愛上等ッ!!【短編】

「‥‥コウジ!?」

突然の出来事に、あたしは身動きが取れなかった。
あたしを抱きしめるコウジの腕の力が、
ぎゅうっと強くなる。

コウジが、言った。


「俺‥‥
玲のこと、好きだ‥‥!!」



ふわっ、と風がふいた。
夏の夕方の風は、ぬるくて冷ややかで
どこか心地いい。


「あたしも‥‥
あたしも、コウジが好き‥‥!!」



さっきとは違う涙が、こらえきれずにぽろぽろこぼれた。



‥‥コウジ。
コウジ。

大好き。

ずっと言いたかった。


ねぇコウジ。


あたし今、
めちゃめちゃ幸せだよ‥‥。




あたしを抱きしめていたコウジの腕の力が、
今度は弱まった。

「玲。」

あたしが顔をあげると、コウジと目が合った。
うわ、めちゃめちゃ顔が近い!