偽恋愛上等ッ!!【短編】

何か、緊張する。
今まで何回も会って遊んだり、話したりしたけど。
こんな風に2人っきりなのは
あのお祭りの日以来だもん。
それにあの日は、コウジが『コウ』って思い込んでたわけだし。


「玲、さ」

数秒間の沈黙のあと、コウジが突然言った。

「何で俺の連絡、無視してたの‥‥?」


あぁ、やっぱりその事聞かれるよね。
どうしよう。
何て言おう‥‥!?

こういう時って、
嘘ついて何か適当に言ったりしたほうがいいのかな?
え、
でも何て言うの?
‥‥あぁー、もう!分かんない!


「コウジの会話、聞いちゃったんだ‥‥」
あたしは言った。

「え?俺の会話?」

「昨日、試合見に行った時。
マネージャーの子に告られてるの、聞いちゃって‥」

コウジは目を見開いて、
「あれ、聞いてたんだ!」
と言った。


「ごめん!わざとじゃないんだよ!
偶然聞こえてきて‥‥
いけないとは思ったんだけど、あたしその場から離れられなくて‥」

「そうなんだ。
でも、それが何でそのことで連絡してくれなくなったの?」


あたしは手に持っていた携帯を、ぎゅっと握った。

「聞いちゃったの。
その後の、部員の男の子との会話も‥‥」