偽恋愛上等ッ!!【短編】

今どこにいるの、と聞いたら
コウジは、
今部活が終わって電車に乗るところ、と言った。

コウジが電車に乗って図書館のそばの駅まで来てくれて、
あたしは駅までコウジを迎えに行った。


コウジ、
『今から会える?』なんて、何で言ったんだろう。
あたしが連絡全部無視したからかな。
もしかして
『彼女できたから、もう会えない』‥とか?


コウジの乗った電車がホームに入ってきた。
ドアが開いて、4、5人が降りた。
小さい駅だから降りる人も少ない。

コウジは一番後ろの車両から降りてきた。
部活帰りだから、大きなカバンを持って制服姿のままだ。

改札の前に立って待っていると、コウジが出てきた。


「コウジ!」

あたしはコウジに手をふった。

「あ、玲!」

嬉しそうに笑って、コウジも手をふった。
‥‥反則。
その笑顔は、反則だって!!


あたしの前まで小走りで来てコウジが言った。

「どっか座ろっか!」

「あ、うん!」


駅の裏は、小さな自転車置き場になっている。
駅の向こうは、民家がたくさんあるんだけど、
裏側になるこっちは細い裏道しかなくて、やけに静かだ。

あたしとコウジは
自転車置き場の端っこにある、2,3段しかない小さな階段に座った。