来た。チャンス!
ここで行かなかったら女がすたるわ!
待ってろクソ男!

あたしは手ににぎったアドレスの紙をぎゅっと握り
勢いよく席を立った。

その時、電車が次の駅に止まり
『コウ』はカバンをひょいと持ち上げてドアに向かった。


降りるんかい!
‥‥ってあたしも降りなきゃ!


あたしはアドレスの紙をポケットにつっこんで
あわててカバンを肩にかけ
『コウ』の隣のドアから降りた。

あんまり大きくない駅でしかも平日の夕方。
人はほとんど居ない。

いける!
頑張れあたし!


「‥‥すみません!」

あたしは『コウ』に声をかけた。