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チリン、
可愛らしい音が店内に響き渡る。それにあわせて挨拶をする。
「いらっしゃいませ!」
笑顔でお客様を迎える。
接客業にもなれてきた3日目。
正直に言おう、城にいるより楽しいです!
「羽音!これ、あそこのテーブルに持っていっておくれ!」
「はーい!」
大きなキッシュをお盆にのせ、指定されたテーブルに運ぶ。
今はお昼を少し過ぎたところ。
なのに、いつもながら客足は減らない。今日だってスカートを翻しながら慌ただしく走り回っている。
空羽、と言うのはさすがに引けたので父様から聞いた私のもうひとつの“羽音”という名前を使った。
店長は初老を迎えたけれど元気にそれはもう絶品の料理を奮っている。私の他にもウェイトレスは2人いて、仲良くしてもらっている。
ちなみに、制服がすっごく可愛い。
水色の長袖のブラウスに茶色のベスト胸元でリボン結び。
スカートはフンワリとした可愛らしい白い薄手の生地で出来た膝上の丈。少し、短いかなとか不安で初日は動く度に中が見えないか心配だったけど、こんな私に盛るひともいないだろうと思い、今では走り回ってる。


