お兄ちゃんの空



「10…ありえない。先輩は、あたしを殺す気なのかしら?」


沙也香がイラついた表情でいう。


「でもさ、走らないと…また外周走らされちゃうよ」



綾音は、そんな沙也香にビクビクしながら言った。


「うーん…。なんとかして、走らずに済む方法はないのかしら…」



「ねぇ、沙也香〜…?」

「たとえば…そうね、先輩を気絶させるとかどうかしら?」


「沙也香、ちゃん?おーい…」


「でも、それでは起きてきたとき面倒ね。いっそ殺「はいストップ沙也香!!」



大変なことを言おうとした沙也香の口をふさぐ。


「沙也香、さっきから呼んでたの聞こえなかったんかい!?」



「あら、ごめんなさい。何か?」


わざとらしく首をかしげる沙也香に、綾音は苦笑いしながら話す。


「あの、さっきから桜先輩が口パクで」



先生と話をしている桜先輩に目をやる沙也香。



「さ・っ・さ・と・い・け…って」


綾音が言ったとたん、沙也香の顔が青ざめた。



「いいい、行くわよ綾音っ!速く!!」



綾音の腕を無理矢理ひっぱり、外周へ向かった。