お兄ちゃんの空



「いつも思うけど、綾音はかわいいのよ?もっと自信もっていいのに〜」

「沙也香はそう言うけど、あたしはかわいくなんてないよ!沙也香の方がかわいいって…」


困り顔で綾音がいうと、沙也香は真剣な表情で言った。



「だから、それはやめなさいよ。自意識が低すぎるわ」



「そんなこと言われても…」



綾音は困るばかり。



かわいいね、と言われ、嫌な気分にはならないけれど、どうせお世辞だと思ってしまうのだ。



それに、沙也香がかわいいのだって、けして嘘ではないのだし。



「あ、りがと…。でも、沙也香の方があたしなんかより、何倍も…」



かわいいよ、と言おうとして綾音は、はっと息をのんだ。



目の前の沙也香が、目を大きく見開いて、固まっていたからだ