すると、中から桜先輩の話し声がきこえてきた。
「綾音って、ほんと運動神経ないわね。だから今日も、しっかり走らせてへとへとにしてから、こき使ってやろうと思っていたのに…。足、遅すぎよね」
「たしかに〜!それにさ、顔キモくない?あ、性格もかぁ?」
「そんな本当のこと、いっちゃだめでしょお?」
桜先輩以外はだれの声かはわからない。
二年生の先輩は今日はみんないない。
それに、一年生の声をわからないはずもない。
だから、三年生であることは明らかだ。
綾音は、桜先輩の言葉に絶句した。
まさか、桜先輩にそんなことを言われるだなんて、思ってもみなかったからだ。
何より、なんだかんだいいながら、綾音は桜先輩が好きだった。
好きだった先輩にそんな風に思われていたなんて、と、涙がこみ上げてきた。
