お兄ちゃんの空



二時間後…


綾音は、10周をようやく走りきり(かなり歩いたが、多少は走った)、ゴール地点に座りこんだ。



「はは…歩いたからよかったけど…全部走るとか…無理」


息を切らし、からからになったのどでいった。


「沙也香、は?」


ゴール地点からたちあがり、テニスコートを覗くと、みんなはとっくに帰っていたようで、誰の姿も見えなかった。



「大変…いかなきゃ」


立ち上がり、綾音はテニスコートへ向かった。



練習はとっくに終わり、皆で荷物を部室へと運んでいったあとのようだった。



綾音はテニスコートに手紙のようなものが落ちていることに気がついた。


近寄ってみると、どうもそれは綾音宛てらしかったので、それを手にとった。