「やっぱり24小節目からはこだわりたいよな」

「うん・・・そうなんだけどさぁ」


あれから2日が経った。

今日はスタジオで練習兼新曲の会議。

インディーズで出す2枚目の
アルバムに入れたいと考えてる。

でもなかなかイメージがバラバラでまとまらない。


「・・・おい、尚哉。お前はどう思う?」

「わかんねぇ。」

「おい、尚哉。それはねェだろ」

「いや、マジで。・・・俺高校ん時も音楽2だし。」

「「自慢できねェ~」」


あたしと真吾が同時に尚哉につっこむ。

確かに真吾は一番音楽に疎い人間かもしれない。


「・・・じゃあさ、一回全部燃やそうぜ?」

「燃やす?・・・なんで?」


あたしは問いかける。

真吾はそんなあたしにさも当たり前のように答えた。


「そんなの決まってんだろ。
改善しようのないもんで悩んでも無駄ってこと。」

「「確かに。」」


真吾の言うとおりだ。

一度振り出しに戻してみるのもいいかもしれない。


「それに・・・八城先輩も言ってただろ。
“一瞬の閃きに敵うモノはない”って。」


八城先輩というのはあたしたちのお世話になってるライブハウスで
あたしたちと同じくライブをしていたバンドのボーカルの人。

そして2年前に「D or A」というバンドでデビューした。


「・・・よし。一から作り直そう。」

「ああ、そうしよう」


あたしたちはそれぞれに頷いた。