神様は意地悪だ。
望んでもいないことをしてくるくせに、
望んだものは叶えてくれない。
あたしはそんな毎日に満足しない、
加瀬 夏澄。
もう今年で22になる。
周りはそれなりの進路を歩み、
短大に通ったり、社会人になってる。
そんなあたしはと言うと、
バイトを掛け持ちして命を繋ぎとめてる状態。
いわゆるニートってやつ。
決して裕福ではない。
両親はすでに他界。
残された家族は福井の実家にいるおばあちゃんだけ。
別に哀しくはない。
だってあたしは一人じゃないから。
あたしには夢がある。
それはあたしがギター、ボーカルとして所属するバンド、
「スピカ」でデビューすること。
スピカは上京する前から組んでたバンドで、
高校の同級生のベースの真吾、ドラムの尚哉で成立する。
人気はそれなり。
2人ともマジでデビュー目指してる。
テクニックはある。
なのに4年経った今でもデビューにありつけてない。
そう。
神様は意地悪だ。
あたしたちを哀れんでいるだけ。
・・・ううん。
きっと見てくれてもいない。
それでもいい。
あたしは負けない。
神様なんか信じない。
女神様なんかに頼らない。
そう、信じてた――――