「・・・着いた!」

「えっ?」

私がふと顔を上げると大きな建物が目に入った。

中学校の校舎と比べると、二倍以上ありそう!

こんな大きくて綺麗な学校に通える事がまだ夢みたい!

私はうっとりして校舎を眺めていたけど、優翔の声で我に返る。

「あそこにクラス表出てるみたいだな、もう時間ギリギリだし、早く見よう!」

優翔の言葉に反応して慌てて時計を見る。

八時三十五分。

教室に入っていなければいけない時刻まであと五分。

「優翔、何組!?」

「え、三組。菜月と同じクラスだけど。」

「オーケー、走ろう!!!」

「えっ、おい、待てよ!」


ーーーーキーンコーンカーンコーンーーーー

長い廊下を駆け抜け、教室のドアの前でピタリと止まる。

荒い息を整え、優翔の方を向く。

「何してんの、入ろう?」

「う・・・うん・・・」

緊張で震える足を見て、ため息をつく。

初めて会った優翔ともこんなに仲良くなれたんだから大丈夫。怖くない。

そう自分に言い聞かせ、ドアに手を掛ける。

ーーーーガラッーーーー

「ぅおっ、優翔おーはよーう!」

「優翔遅刻じゃんっw」

「あはは、見逃してーっ!」

突然繰り広げられる会話に戸惑う。

優翔、友達居るの!?

私は友達と高校離れちゃって一人なのに!

「ん、あれ~?」

「優翔、その子、誰?」

うわわ!視線が痛いよぉ!