―アホ。そんなのいるかよ。それよりさぁ…
彼は箱から指輪を取り出す。

彼が取り出したリングは私の好きなブランドのものだった。
きっと相当無理したんだろう。


―サイズとかさぁ。あるの知らなくてさぁ。
指にはめたものの、ユルユルのダボダボだった。

「せっかくかっこ良かったのに。」

―だよなぁ。慣れない事はするもんじゃないな。
あとオレアクセサリーとか苦手だからオレのは携帯につけるから許して!

「こらぁ!」

だけど彼のそんな所が好きだと思った。

1周年どころか永遠を感じれた。もうバカな心配はしません。




あとピアス。
彼は開けなかったけど。
私の心には開いたかもね。



「ハートのピアス。」

―え??なに?ハートのピアスって。
そこだけ言葉に漏れてたみたい。あぁハズカシ。

「何でもないわよ。お礼にスイーツご馳走してあげる!」

―げ!?まだ食うのかよ!
彼は本気で動揺した。


ありがとう。このままでずっとよろしくね。

そう思いながら私はダボダボの指輪が落ちないように
彼の手をギュッと握った。


(おわり)