光樹side

保健室を出ると、知らない女が近寄ってきた。

見え見えの上目使いとかキツい香水の匂いとか…

はっきり言ってウザイ

「坂上あやのです。4組です。あの…」


「私先に行くね?」

え…

パシッ

「何?」

…俺は無意識のうちに奈緒の腕を握っていた。

「あ…わり…先行ってて。」

何やってんだ俺…

最近の俺絶対おかしい…

てかこの女どうしよう…


「こーうき!!」

うっせ…

この声は…

「遥斗」

「よっ!」

こいつは笹川遥斗。

俺と隣の部屋で、今では親友だ。

「何だよ」

「何だよってひどいな。ちょっと用事があったんだけど…」

チラッとあの、あやのとかいう女を見る。

「でもお取り込み中みたいだし…」


これはチャンスかもしれない

あの女から逃げ出す…

「遥斗、俺も話あるから行こう」

「え…村上君!!」