ある日、実夏が引っくり返るようなことを言い出した。


「あ、ウチさ、志望校変える。と言うか、変えさせられる」


「え!?実夏ちゃんどーゆーこと!?」


案の定、歌奈が引っくり返った。


「親がさ、御立(みたち)高の商業科」


「み、御立って俺の志望校じゃん」


実夏は大学に入りたいのを理由に、愛生も目指す史中(ふみなか)高を志望していた。


「そーだよ?そこの商業科。


親が卸売業の経営者でさ、まあウチも、興味なくはないから、行くことにした」


まさかでは無いけど、お前勉強面倒になったか??


…と言ったら、強烈なパンチをお見舞いされるから、黙ってた。


「大学は??」


「行かない。と言うより行けないね」


「だから親元で働くと」


だろーな。



「えええぇーーーー!!?」


と、この事を聞いた愛生は、バカみたいな大声を出していた。


…当たり前?と言われればそうかもしれない。


でも、次の瞬間、沈んだような顔になって、


「受験ガンバって」


と、小さくつぶやいた。


その時にはもう違う話になってたけど、俺はしっかりと聞いた。


4人の中で一番頑張んなきゃならないのは、お前だろ?



引っ掛かる事ばっか言いやがるな、最近。