「あ」
向こうに、人影が見える。
「……成留」
「久しぶりじゃん、実夏、歌奈」
二人とも、ちゃんと揃って来ていた。
やっぱり、勿忘草は必須。
「『私を忘れないで』でしょ?
ちゃーんと覚えてるよ?」
実夏は茶化すように言った。
「早く天国でもカレシ作れよーー」
なんてバカを言い出すのはもちろん歌奈。
「そーじゃないと成留に引っ張られるかんねー」
「何だよ俺に引っ張られるって」
と言うと、なぜか歌奈だけじゃなく、実夏も爆笑しだした。
「何だよお前ら!」
「いーーよ~~~~。
忘れたんならい~~~~よ~~~~~~」
笑いすぎだろ、コイツ。
「ってか、俺まだ花供えてないから。やらせろ」
「はいはーーい」